おじさんのかさ

おじさんのかさはおじさんが主人公というちょっとだけ変わった絵本です。
へんくつな性格のおじさんの行動に思わず引き込まれてしまう素敵な作品です。
おじさんの心はあまりに変わっているようでなぜか納得してしまうところがあるのですが、それだけにどうなることやらと心配も生じてきてしまいます。
しかし最後はおじさんがそれを見事にくつがえしてくれます。
読後感のとても良いものがたりと、それを表す生き生きとした絵は、見るものをまた読みたいと思わせてくれます。

この絵本の作者は100万回生きたねこなどで有名な絵本作家の佐野洋子さんで、絵のタッチはそれと似たものなのですが、100万回生きたねこと違って色調のひとつが青系統なのが特徴です。
その絵の中で黒い姿のおじさんと黒い傘はとても印象的です。
それは決して強い感じの黒ではないのです。
この色の組み合わせでも、ものがたりの軽快さを損なわない絵となっているのは佐野洋子さんの趣向なのかもしれません。

大切なものは大切にしたい。
その当たり前の心情をおじさんの行動として表したこの絵本は、それだからこそ子供向けのストーリーのように見えて、多くの読者を引きつける力を持っているのではないでしょうか。